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鎌倉時代から約700年続く城下町で「山陰の小京都」とも呼ばれる津和野は、明治の文豪・森鴎外の生家があり、歴史と文化を色濃く残す景観地としても知られる町だ。
掘割を流れる清水には色とりどりの鯉が泳ぎ、白い土塀が続く光景はこの町ならではの趣を色濃く残す。
そんな津和野の地に立地するバルトソフトウェアは、本社を大阪市に持つ組み込みソフトの会社だ。大阪、和歌山に拠点をもち、2015年1月に津和野(島根県)に拠点をオープンした。
津和野の土地に縁があるという代表の山越社長にお話を伺った。
1990年に大阪で創業し、現在創設26年のバルトソフトウェアは、組込み系ソフトウェア開発を得意とする開発会社だ。
特に事業領域となっている駅務業務関係・セキュリティ関係・交通管制関係といった、制御系の機器組み込みソフトの開発には定評があり、派遣型ではなく自社での開発にこだわってきた。
「私自身がもともとエンジニアで、モノづくりやシステムづくりがとても好きです。ひとつひとつの仕事を自社でやっていくことで、経験を共有して強くなっていけると考えます。」(山越社長)
社会インフラ系のシステム開発を多数行う同社ではプラグラムの質にもこだわっており、品質を高めるための部署も存在。ミスが許されない組み込みソフトにおいて、設計、コーディングからテストそしてリリースまで一貫して品質にこだわっている。これらは独自のバルト式開発標準として、構成されている。
「大阪、和歌山、津和野がありますが、拠点によって仕事の内容やレベルが変わるわけではありません。業務内容も給与体系もすべて同じです。
3つの拠点でひとつの仕事を協同して行うことが多く、あるプロジェクトでは拠点ごとに機能別に開発、あるプロジェクトでは工程別に開発をするなど、3拠点でコミュニケーションをとりながら区別なく開発をしています。」(山越社長)
社員同士のコミュニケーション形成や技術力向上のため、年に4回全社員が集まり、業務内容の共有や技術に関する教育を行うという。拠点の離れたメンバーができるだけ親近感を持って仕事ができるよう、会社としても施策をとっている。
津和野は農業や林業と言った分野での移住者が増えてきている地域だが、IT企業の立地は初めてだという。バルトソフトウェアはIT企業が集中する松江や出雲ではなく、この土地を開発拠点として選んだのはなぜなのだろうか
「津和野は、私が高校時代を過ごした土地でもあります。大阪で、町長から津和野の過疎化について話を聞いている中で“場所を問わずに働けるソフトウェア企業を狙えば”と助言していたところ、自分が立地することになりました(笑)」
バルトソフトウェアのオフィスは、隣の山口県から走るSLの終着駅の津和野駅から少し歩いた城下町の面影のある一角に位置する。古民家を改装したユニークなオフィスで、観光客は時折オフィスの前で足を止める。
2015年1月に開所した同社だが、島根県の立地認定を受けたのは、それより1年半前。
当時、東京や大阪と同様に貸事務所があると思っていたのだが、そういった物件はなんとゼロ。地元の人に相談し物件を紹介してもらい、古民家を改造した元電気店をリノベーションし、今のオフィスをオープンした。
社長は常に “創造的な開発をしてほしい”と願っており、津和野の土地はそういった仕事をしやすいのではないか、と考える。
「満員電車から逃れることが、まず、素晴らしいことです。津和野では大阪、和歌山より就業時間を1時間早めています。陽が昇ったら仕事を始めて、沈むときには仕事は終了。
そんな自然に則った生活をしながら、美しいプログラムを書いてほしいですね」
山越社長は、自身もエンジニアであり、プログラム好きである。会社を興す以前よりエンジニアとして開発に携わってきており、「モノが動く」仕組みをつくることにこだわり続けた。
「絵画や写真など、美しいものをみると心が動かされます。プログラムも同様で、綺麗なロジックでつくられたものがあれば感動します。人を感動させるようなプログラムをつくれるような組織でありたい。
そのためには、美しいプログラムをたくさん読んで、感動を得ることが重要です」(山越社長)
同社の企業理念は“美しいプログラムをつくろう”。そのためには、自ら学び続けることが大事だが、創造性を高められる環境も重要だと考える。
「津和野では星が本当にきれいに見えます。街並みも美しく、自然環境も豊か。そんな中で開発をすると、創造性の高い、美しいプログラムが書けるのではないかと思います。
人口が少なく田舎と感じるかもしれませんが、こういった土地だからこそ頭がクリアになり、判断能力も高まると感じます。プログラムが好きで、綺麗なプログラムを書きたいと考える方に、ぜひ津和野に、当社に来ていただきたいですね。」
美しい津和野の地で、“美しいプログラム”にこだわり続け開発する同社に興味がある方は、ぜひ訪れてみてほしい。
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