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「世界に広がるRubyを島根から」熱い想いの先に描く”島根で働く可能性と意義”とは。

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Welfamily代表取締役(元島根県職員)_杉原健司様

―最初にこれまでの経歴等の自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

ありがとうございます。経歴としては、1995年に島根県庁に入庁したことが始まりです。入庁後は医療機関と土木部を経て、総務省の外郭団体に出向しました。が、ここからキャリアがおかしな方向にいきました(笑)総務省への出向後は、2年間シンガポールに駐在をさせていただいて、帰国後に「産業振興課」に配属されました。

―シンガポールにいかれてたんですね!そこから「産業振興課」と面白いですね。

産業振興課には15年ぐらいいましたが、自分がどうしても進めたかった情報産業の振興に携わる施策の担当をしてました。その中で、産業構造を変える必要があると思ったので、今でいう「スタートアップ支援」を意識して、地域課題の解決を通じた産業創出に取り組んでまいりました。

15年間産業振興課で同じことをやり続けていましたが、もう年齢も年齢になってきたこともあって、ある時違うミッションをいただきました。

―どんなミッションだったのでしょうか?

県内企業さんの海外展開支援の政策を考える、というミッションでした。元々島根県がタイと関係を持っていたので、県庁職員として初めてタイ政府に出向させていただき、帰国後は海外展開の施策を担当しました。要は現地でコネクションやネットワークを作って、施策として確立するっていうミッションだったんですね。「情報産業振興」が長かったことと、海外駐在の経験が2回あることは、なかなか他の自治体にもいないかなという気がします。

―大変興味深いキャリアのお話をありがとうございます!島根県と言えばRuby発祥の地が特徴ですよね。

そうですね。当時のITビジネスの中心は首都圏だったため、首都圏からどう仕事を取ってくるかが重視されていましたが、地方という切り口で何かできないかと考えていました。そんな中で、島根県には「Ruby」という他の地域にはない特徴があったので、Rubyを軸にした施策が重要なテーマでしたね。

そして、2009年にRubyWorldカンファレンス、2010年にアジャイルのプロジェクト、2011年にはRubyアソシエーションの一般財団法人としての設立、という形で施策を打ち出しました。

―素晴らしい構想ですね!

ありがとうございます!もう少し詳しくお話すると、「RubyWorldカンファレンス」はブランディング戦略のイメージです。Rubyは安心して使える環境を世界に向けて提供していますが、その総本山が島根の松江市にあることが大事だと思いました。そして、ブランディング戦略で注目されたら、そこで勝ち抜くためのビジネス戦略が必要になります。このように、ブランディング戦略としてのRubyWorldカンファレンスとビジネス戦略としてのアジャイル開発を両輪で考えていましたね。

―アジャイル開発についてもう少しお聞かせください。推進する中で感じたことはありましたか?

受託ビジネスの限界があるということです。もちろん、お客様に寄り添ってIT側が開発をしていくアジャイルプロセスは大事なところですが、その先に本当のお客様がいるんですよね。なので、その先の本当のお客様を開発する側も意識しない限りは、本当の意味でのアジャイルプロセスの価値を発揮できないなと。

このことを突き詰めて考えると、IT企業が自らサービスを作るのか、もしくは東京のソニックガーデンさんのようにサービサーと一体となってプロダクトを作るのか、そこまでいかないとアジャイルの意味がないことにぶち当たりました。これが2012年頃です。

―なるほど、大きな学びですね。その中で「行政」が関わることの意義はどのようにお考えですか?

行政の仕事は、「若い人たちが夢を持って働ける場を増やす」ことだと思います。

産業のポートフォリオを考えたときに、もっと新しいチャレンジをする人たちが必要なので、スタートアップや新しく事業にチャレンジする人たちが増える環境づくりの推進に、行政も関わっていく必要があると考えています。

―新しいチャレンジの背中を押せるともっと可能性が広がりそうですね。その中の軸がやはりRubyということなのでしょうか?

そうですね、Rubyは全ての軸です。Rubyは地域の財産として、まつもとゆきひろさんもいるし、島根県内でもRuby on Railsも含めて、全国的にも高い技術力を持つ企業やエンジニアがいます。だからこそ、ここで勝負していかなきゃいけない、という思いが私の根幹にはあります。

そうするとRubyが活かせる道は何だろうと突き詰めていくと、新しいサービスを作る、いいプロダクトを作るところに、Rubyが活かせると考えました。なので、いいプロダクトを作る人たちを応援する、あるいはいいプロダクトを作ろうと思う人たちが増える環境作りを本気で実現したいと思っています。

―なるほど、技術者みたいな観点でいくと島根県への人材流動性は高くなってるんですか?島根県としての関わり方や風土という観点からお聞きしたいです。

地方都市は、閉鎖的だったり、保守的だと言われるかもしれません。もちろん、島根でもそういうところはあると思います。ただ、そんな中でも技術者に関して言うと、Rubyのおかげもあって風通しが良いですよ。出雲大社は八百万神と言われますが、色々な神様が同居できるというのは、多様性の文化を許容できるとこなんですよね。こういう素地がある上でRubyやオープンソースも受け入れられています。私がRubyから学ばせていただいたのは、色々な考えの人が宗教感や思想が違っていてもいいよねという多様性です。

―多様性、とても響くキーワードですね。少し視点を変えますが、杉原さんが感じる「島根県で働く、暮らす魅力」はなんでしょうか?

田舎なので、オンとオフを明確にできることですね。日中は集中してガリガリコード書いて、例えば17時~18時にもう終わったから切り替えて色々なところに遊びにいったりする人もいます。島根県はそこそこ都市なので、飲み屋もあります。夏は海に行ったり、ゴルフもできますし、他にも釣り、キャンプ、SAPと色々遊べます。冬はスキーやスノボをできるところもあります。とにかく、オンオフの切り替えがつけれることが魅力です!あとは、クリエイティブなスタイルに向いてるとこだと思います。それでいて、多様性に寛容で、チャレンジをよしとするという雰囲気があるので、東京で息苦しくやってるよりは自分らしくチャレンジもできるし、個性をよしとしてくれる所です。

―都内で働きながら、島根に触れつつ島根に活動拠点を移すみたいな動きもゼロではないと思います。今後のIT人材の働き方で何か感じられてることはありますか?

理想は島根に移住してほしいです。ただ、移住しながらも便利になった世の中なので、多拠点を意識してもらっていいと思います。オンラインでもビジネスができるので島根に移住したから島根でしか仕事ができないってことはないと思います。だけれども、自分らしさやクリエイティブさを大事にしようと思うと、オンオフの切り替えってすごく大事な気がするんですよね。そういう意味で、中長期のライフプランも考えると島根県は働きやすい県なのかな。

―IターンやUターン含めて、島根に活動拠点を移す、島根に移住するという動きは増えてるのでしょうか?

増えてますね!私が住んでる出雲市でも増えてますね。出雲出身の都内のスタートアップで働かれている方が、出雲に拠点を作ったりされてます。

出雲市の場合はユニークで、ウクライナやロシアなど東欧の優秀なエンジニアの方が、出雲に移り住んでくださってます。大手の製造工場があるため、そこで働くブラジルの方も多い印象です。
Uターン・Iターンが、国を越えて始まっているなと感じています。これも多様性かなと。
そういうことなんですよ。海外の方が来られとしても抵抗がないところなんですよね。
出雲がどんどん多様性が生まれてきそうな匂いがしますね!

県内、県外の方、多様な方が交われるプラットフォーム『enun』のコミュニティマネージャーとしても活動中!
https://enun.jp/about/#about-community


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