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『人生とは生涯学び続けること』その想いを軸に、島根県での働き方・暮らしを多くの人に届け、多様な選択肢を持てる人を増やしたい。

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島根県商工労働部 産業振興課 室長 安達 昌明様

―本日はよろしくお願いします。まず簡単に自己紹介をお願いします。

島根県庁で職員をしている安達と申します。普段は産業振興の部署にいますが、この産業セクションに来る前は環境セクションに10年近くいました。ずっと環境セクションの中で温暖化対策や省エネの分野に携わるのかなと思っていたのですが、平成23年に異動があり、そこから情報産業振興室という、IT企業を支援する部署で仕事をしてきております。

「人材育成の取り組みを起点にエコシステムをどう創るか」をテーマに掲げて、10年近く情報産業振興室で仕事をしてきました。その中で、先輩から言われたのは、「産業振興は、地域資源(土地・人・想い)をベースにどう組み合わせてモノづくり、コトづくりの仲間を増やしていけるか、常にチャレンジングで面白いぞ!」ということでした。人と人の繋がりの中にこそ新しいビジネスの芽があるというのが私のモットーです。新しいビジネスを作ることは行政支援の中では限界があるので、であれば新しいビジネスを作る人に着目をして、産業振興を進めていこうというのがIT産業支援の原点になります。

―そこが企業とのコラボとかになってくるのでしょうか?

おっしゃる通りです。島根県の特徴はやはりRubyかなと思いました。

その源泉となるオープンソースソフトウェアという文化がこの地にあったことはとても大きいことと感じております。そこに企業や組織の垣根を越えた優秀な人たちが集まってきて、アイディアを出しながら、創造しイノベーションを起こしていくというのがオープンソースの世界です。そうした多様性を受け入れる文化がオープンソースの最大魅力であるのかなと感じていますね。それをどうやって広げていったらいいのか、と考え、小学生から中学生、高校生、高専、専門学校、大学などの人材育成を行いました。私のミッションとしては、この取り組みを島根県全域に広げていくことでした。

―素晴らしい取組みですね。人材育成を通して、課題解決できる人材を育成していくという狙いもあるのでしょうか?

そうですね。身近な所から課題を発見し、それを解決するプロセスの中で、自分がどういう人になりたいのか?そのためにはどういうスキルを持ったらいいのか?そういったところを考えながら、行動に移せる人が増えてほしいです。少し話はそれますが、長い人生の中で「私にとっての人生は?」という問いを自分に投げかけたときに、こう答えるようにしています。

「人生というのは生涯学び続けることだ」と。
自分たちが将来何になりたいかを頭に浮かべながら、そこに活かせるスキルを身につけていくことで、モチベーションに繋がりますよね?そして、そこでチャレンジして一歩踏み出すことが重要なんです。これはITの世界だけに限りませんが。

―共感します!そのような思考を若いうちから持っておくといいかもしれませね。

はい!県内のIT企業の方は、課題をITで解決している部分が多く、非常に長けている方が多いです。そんな彼らは、若い方の将来像のハブコネクターとなる存在です。

だからこそ、IT企業の方とキャッチボールしながら、自分の人生を他人に委ねるのではなく、自分でデザインする動きを活性化していきたいと思っています。
IT企業の方もなぜここに乗ってこられたかというと、オープンソース=Rubyからスタートしているところが重要なのかなと思ってます。オープンソースを通じて人と人が繋がって、その取り組み、マインドが企業であったり、他企業のビジネス関係に繋がったり。そして、取り組みが多くの企業の方にも注目、認知されて、島根県のファンになっていただいたり。このような循環が生まれるといいなと思っています!

企業の方は人の学び、コミュニティ活動に対して非常に理解があり、若い方、もっと言えば子供たちの夢にコネクトしていくところに非常に理解を持っていただきました。

Rubyのブランディング戦略により、私が平成23年に着任したときに把握している県内IT企業は40社程度でしたけども、現在110数社になっています。これは企業にはRubyのブランディングが伝わってきたのかなと。だけども、首都圏に住んでいらっしゃる方には伝えきれていない部分もあり、まだまだ大きな課題だと思っています。

―島根で働くという選択肢や、首都圏以外で働く選択肢を発信していきたいですね。

そうですね!給料というより、自分のスキルを試していきたい方にとっては、働く場所を選ばない時代になってきたなと思っています。そのような中で、学び続けるところがあるといいなと思っていまして、だからこそ、島根県で若い時から学べる場所を作っていきたいです。IT企業の方もそこの学びの中に入っていく流れも加速させたいですね。そして、その中で学んだことを自分の会社で新しいサービス、事業に繋げていってもらいたいなと。地方にある仕事に自分のスキルを追加できる、そんな風土が島根県の魅力となると嬉しいですね。その一環として「文系学生の人材育成支援事業」というのを実施しました。

文系学生を対象に、2ヶ月ほどeラーニングでプログラミングなどのITスキルを勉強していただきます。それが終わったら企業にインターンシップのような形で入っていき、そこで企業と共同開発をして、最終発表するという流れです。

自分たちのスキルを大学時代から意識して、学び続けるという文化風土を作っていきたいと思っています。そして、それを受け入れる企業が島根県にはあるということを伝えたいです。

学び続けた文系学生さんが島根県内の企業に入ることによって、自分の学びの中から新しいことを創造できる。そんな人たちが会社を変えていく流れを生み出したいと考えています。

―人材の流動性という観点からも、地域に根差して働きたいという人も増えてきそうですよね!

人材の流動性はまさに時流ですよね。昨年、東京にいて感じたのは、大企業の原理が崩れていったということです。新型コロナウイルスの影響で、仕事をする場所はどこでも大丈夫という動きが一気に加速しましたよね?働く場所の論理が次のステージに移ったという感覚です。

このチャンスを活かさないといけないかなと思っています。人生のクオリティを高くするには「どこに住んで、どこで働くか」というのがまず一つ。そして、「その場所で誰と働くのか、そこで何をするのか」みたいな側面もありますし、ここの部分をストーリー立ててPRしていかないといけないのかなと考えています。

―コロナ禍での変化は大きな影響がありましたよね。

はい、ただコロナ禍でリモートワークすることによって変わったのではなくて、「職住近接」したことも一つのポイントなのかなと思ってます。

職住近接の働き方、暮らし方で創造性は豊かになると思いますし、課題というのは自分の生活の中にあります。職場と住む場所が近いということは、課題を解決していくための創造性も豊かになるのかなと。物理的に近いというところもありますが、住んでいる所と仕事している所が近いというのは創造性を豊かにするみたいなところで、大きな意味がありますよね。自分たちの物差しがどこにあって、それを実現する場所がどこなのかを考えながら人生を過ごしてほしいです。

―そのような想いを軸に、島根県と繋がるという意味で「IT WORKS@島根」を運営されているのでしょうか。

おっしゃる通りです。「IT WORKS@島根」は地方にある仕事と、その人が持ってるスキルや能力、そして組織を繋げていきたいと思っています。その中で、どのような化学反応が起こるかを想像できるようなIT人材コーディネーターも必要になってきます。「IT WORKS@島根」はただマッチングするだけではなく、キャリア相談の中で、その方のキャリアや経験がなければ「どういう想い」を持っているかをお聞きしています。首都圏に住んでおられた方のスキルが活かせるような場所をマッチングしていくことも、「IT WORKS@島根」が実現したい世界です!この辺りが1つのコンセプトというところでしょうか。

―人は論理ではなく最後は感情で動く生き物なので、コンセプトもどんどん発信していきたいですね。

そうですね!経済成長が約束された時代は、ロジックや論理が重要ですが、成熟した中では、予定調和でなくなり、何が起こるか分からないので、情に訴えるようなところをどうデザインするかが大事かなと。

―人は機能的というか情緒的な価値で動かされますよね。

島根で働くという経験、あるいは体験に価値を感じるということですよね。その体験の場で感じたことの中で人は動くし、その中から、それを応援したい方はファンになるし、広がっていきますよね。そのコミュニティが島根県にはあると思っています! ぜひ島根県に足を運んでいただきたいです!

―安達さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

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