NaCl(ネットワーク応用通信研究所)の高田です。学生として過ごした鹿児島から就職のため松江に来て20年になりました。
いろんなことが 20 年の間にありますが、家族ができたことが何より大きいです。共働きの核家族で子どもとの暮らしにバタバタの日々を過ごすとは松江に来たときには想像できなかったです。
松江へ来たきっかけ
学生のときはカオス*1と複雑系*2の研究室にいて、数式で作ったシステムの数値計算をしていました。
研究室にあったのは Sun のワークステーションや PC98 でしたが、90年代の後半で本や雑誌に CD-ROM 付きで Linux が紹介され始めた頃でした。
自分のパソコンに Linux をインストールして数値計算のプログラミングに使う C コンパイラー(GCC)や数値計算の結果をグラフに描くソフト(GNUPLOT)などワークステーションと同じような環境を揃えていました。
正直なところ研究自体より数値計算のプログラミングや Linux を使うことのほうに熱心でした。
ちょうど就職活動をしていた頃に、当時 Linux の記事も多かった雑誌の『UNIX USER』に連載されていた よしだともこさんの「ルート訪問記」に今の勤務先が取り上げられることがありました。
自分も研究室の先生も『UNIX USER』の読者でした。研究室の先生から応募を薦められて面接を受けて今に至ります。当時は業務に Linux を使う会社はとても少なかったはずです。
松江の暮らし (家賃やクルマ)
松江へ U ターンや I ターンを考えている方へ書くのは気が引けますが、松江の家賃は地方都市のなかではそれほど安くないように思います。
随分前になりますが、松江に来たとき家賃が鹿児島より高く感じました。県外出身者と何度か独り暮らしの家賃について話したときも同じ様な印象でした。
また、他の多くの地方都市と同じく日常の買い物からしてクルマがないと不便なので地方なりのクルマの費用の負担もあります。
松江の小さなお店
松江の近くの海や山や温泉は多くの方が語られていると思いますので、松江の街の様子として小さなお店でのことを少し紹介します。
とても個人的ですが、ワインバーやコーヒー店、古本屋などへ出かけます。
松江には自家焙煎のコーヒー店が何軒かあって街の大きさに比べて多いような気がします。
コーヒー店ではないですが、少し前に松江城の近くのお店へ昼ごはんに行ったときでした。お店のカウンターの端には、漫画家のつげ義春のムック本やコピー用紙を束ねた手作りの冊子(zine)があります。
スパイスが効いたカレーを頼んでお店の人とコーヒーの話をしていたら、マスターがバニラアイスに粗く挽いたコーヒー豆をふりかけるといいと教えてくれました。
実際にいただくとコーヒー豆がチョコチップのような感じでいいのです。コーヒー豆を食べるのは初めてでした。
そんな松江のIT業界の人にコーヒーのことを話したときには、どこのお店の豆を使ってるとか、コーヒーを淹れるお湯の温度を聞かれたことがあります。研究熱心な人がいるので気が抜けません。
最近、古本屋へちょこちょこ出かけます。店内に飲み物のメニューがあって、コーヒーや小瓶のビールなどが並んでいます。
緑色の小瓶のビールを常連のおばあさんが美味しそうに空けているのはカッコ良かったです。
メニューに「ガリガリコーヒー」とあるので何だろうと尋ねると、客が自分でコーヒーをいれるメニューでした。自分で手廻しのコーヒーミルで豆を挽くから「ガリガリ」です。注文があるのかなと思っていたら、何度か通っていると結構に「ガリガリコーヒー」が出ます。
それから、小さな街なので他のお店でよく会う人と別の店で会うこともしばしばです。ワインバーで顔馴染みのお兄さんが古本屋の超常連でした。彼が桜餅を持って古本屋に現れたのでお店にいた人と一緒にいただきました。
最後に古本屋で出会った本を紹介します。
こちら古本でなくて2020年の新刊です。北海道生まれの俳句を作る人のエッセイ集で、著者は2000年からフランス在住だそうです。
サブタイトルに「漢詩の手帖」とある通り、どのエッセイにも中国と日本の古今の漢詩がとりあげられていて著者による漢詩の日本語訳があります。
あまり俳句や漢詩に馴染みがないので、店頭に平積みされてなければ手に取らなかったと思います。
生き生きと食べ物を語る漢詩にとても身近さを感じるかと思えば、著者が漢詩を介して語る観察や内省やイメージに思考が遠くへ飛ばされます。ついていくのが大変でもあるのですが繰り返し読みたくなります。
佐賀県生まれ。学生のときに Linux を使い始め、株式会社ネットワーク応用通信研究所に2000年に入社。主にネットワークとサーバの管理を行っている。